ついに実現!実業団VS大学生 エキスポ駅伝2025 レース総括と継続への期待とは?

2025年3月16日、大阪の街を舞台に「ACN EXPO EKIDEN 2025」が初開催され、実業団と大学生のトップチームが55kmのコースで熱戦を繰り広げた。

史上初の実業団対大学生の対決というコンセプトのもと、大阪・関西万博のプレイベントとして注目を集めたこの駅伝は、全国ネットの中継やネット配信を通じて多くの視聴者を魅了した。しかし、主力選手の欠場や実業団と大学生の力の差など課題も露呈しつつ、未来への可能性を示したレースでもあった。

今回は、レースのダイジェストを振り返りつつ、印象的な選手や今後の期待を込めて、この大会の意義を考えたい。駅伝ファンからは、批判的な意見も見られますが、来年以降も継続してほしいと願う思いを込めて書いていきたい。

レースは、万博記念公園をスタートし、夢洲へと向かう7区間で展開された。

まず1区、吉居(トヨタ自動車)と鶴川(青山学院大学)の対決がレース前から注目を集めた。1万mの持ちタイムでは吉居がトップ、鶴川が2位という実力者同士のマッチアップは、駅伝ファンの期待を一気に高めた。レースは、スタートから飛ばす嶋津(GMO)が1kmを2分40秒のハイペースで突っ込み、駒澤大学の伊藤やトヨタの吉居らが追い上げる展開に。鶴川選手もじわじわと差を詰め、中盤からは伊藤、鶴川、吉居の3人が先頭集団を形成した。伊藤が果敢に前を引っ張る走りを見せたが、最後は吉居が冷静にスパートをかけ区間賞を獲得。伊藤が2位、鶴川が3位と、学生が上位をまとめる力強さを見せた。國學院の青木も安定感ある走りで上位に食い込み、帝京大学の小林も8位と健闘。

2区のスピード区間では、吉本(駒澤大学)が野村(トヨタ自動車)に挑む素晴らしい走りを見せた。3大駅伝未経験の4年生吉本が攻めの走りを見せ、後半で野村が再び抜け出したものの、吉本も粘り強く食らいついた。区間賞は今江(GMO)が獲得し、箱根駅伝で活躍した選手を超える実業団での成長ぶりを証明。千葉大学出身の彼が、実業団で着実に力をつけていく姿は今後も楽しみだ。区間2位には國學院の小暮選手が単独走で続き、3大駅伝へのアピールに成功。帝京大学の島田選手や小川原選手も上位に食い込み、学生勢が健闘した。3区の最長区間では、エース級が集結。トヨタの太田智樹選手が貫禄の走りで圧巻の区間賞を獲得した。先日のハーフマラソン日本記録更新や1万mでのオリンピック代表経験を持つ彼は、下り基調のコースとはいえ10km換算で27分16秒という驚異的なタイムを叩き出し、学生勢を寄せ付けなかった。解説の大迫傑氏も絶賛する安定感は、トラックシーズンへの期待を高める。区間2位は尾熊(國學院大学)で、1年生ながら丸亀ハーフでは好走、今回も下り基調コースで強さを見せた。箱根で3区あたりを走ると面白いかもしれない。

3区は最長区間で、エースが多く集まり見応えのある区間になった。トヨタ自動車の太田(トヨタ自動車)が貫禄の走りで区間賞を獲得。先日ハーフマラソンで日本新記録を樹立し、1万mでもオリンピック代表に名を連ねた彼は、どのレースでも安定して高いパフォーマンスを発揮する。中継の解説を務めた大迫傑氏もその実力を称賛していたが、トラックシーズンや日本選手権を控えた難しい時期にも関わらず、下り基調のコースとはいえ10km換算で27分16秒という驚異的なタイムを叩き出した。学生ランナーにとっては到底太刀打ちできない圧巻の走りで、実業団の実力を見せつけた瞬間だった。

一方、學生トップとして輝いたのが上原(國學院大学)だ。区間2位を獲得し、國學院は2区間連続で上位に食い込む安定感を見せいい流れを作った。丸亀ハーフでの好調さも記憶に新しいが、彼の持ち味である「外さない」走りは今回も健在だった。区間3位には吉田(GMO)が入った。マラソンで日本3位の実績を持ち、世界陸上の代表候補として有力視される彼は、積極的に集団を引っ張る走りで存在感を示した。昨年の東日本実業団駅伝では間近で彼の走りを見たが、マラソン仕様で11km前後の距離で独走区間賞を取る走りは圧巻だった。マラソンのテンポ走のような感覚で、短い距離でも区間賞をサラリと取っているような印象は衝撃的だった。また、山川(駒澤大学)もこのエース区間で健闘を見せた。好選手が揃う中、後半にやや離されたものの、上位をしっかりとまとめる力はさすがの一言。そして、1年生ながら注目を集めたのが青山学院大学の飯田選手。実力あるランナーに伍する走りで上位に食い込み、3大駅伝デビューがほぼ確実視されるまで成長した。今からその活躍が待ち遠しい。

4区は実業団が上位を占めた。区間賞はダニエル(富士通)で富士通はやや流れが悪くなっていたところをダニエルの快走で流れを引き戻した。2位の牟田(ロジスティード)は外国選手に割って入る走りで存在感を示した、27分台の持ちタイムは伊達じゃない。3位のキバティ(トヨタ自動車)はしっかりと独走態勢を築き、トヨタの優勝を一気に手繰り寄せた。学生トップは5位の原(帝京大学)で、持ちタイム的にはタイム的にはかなり健闘したといっていい。今シーズンは覚醒の予感がする。

5区では塩尻(富士通)が1万m日本記録保持者の実力を発揮し区間賞。トラックだけではなく駅伝や、クロスカントリーでもコレくらいの距離では無類の強さを誇る、今回も圧倒的だった。2位の野中(國學院大学)は単独で前を追う展開で13秒差と健闘し、前田監督のポイント選手としての期待に応えた。3位の桑田(駒澤大学)も安定感を見せ、次期エース候補として注目される。湯浅(トヨタ自動車)も中央大の同期・吉居と共に活躍し、中央コンビの輝きが光った。

6区では最年長の田中(トヨタ自動車)が区間賞を獲得し、ベテランの底力を見せた。順天堂大学のコーチ兼任とは思えない走り。2位の楠岡(帝京大学)は高校時代の実績を活かし、昨季から安定感を増しており、松枝(富士通)を上回る走りでかなり手応えを掴んだんじゃないだろうか?楽しみだ。3位の松枝(富士通)も数秒差で惜しかったが、神奈川出身のベテランとしてまだまだ元気な姿を見せてくれそうな意地の走りだった。4位の藤本(早稲田大学)はチームが後方でも上位で走り、持ちタイム以上のインパクトを残した。ホクレンディスタンスチャレンジあたりで大きくタイムを伸ばすのでは?

最終7区では内田(トヨタ自動車)が安定した走りで区間賞を獲得。2位の朝川(帝京大学)は直前の丸亀ハーフでの勢いそのままに、内田以外の実業団選手を上回る走りを見せた。まだ2年生ということもあり、今年は大きくブレイクしそうな予感だ。3位の鈴木(富士通)は大阪マラソンでの復活後の疲労を感じさせない走りで力強さを証明。

最終結果は1位トヨタ自動車、2位富士通、3位國學院大學(学生トップ)、4位帝京大学、5位GMO、6位駒澤大学、7位青山学院大学、8位ロジスティードとなった。國學院大学は後半区間の強さが際立ち、帝京大学は帝京らしいロードでの粘り強さが光った。

レース全体を振り返ると、実業団の層の厚さが目立った一方、大学生も個々の輝きで存在感を示し面白いレースとなった。しかし、課題もあったことは確かだ。主力選手の欠場が多かった点は、実業団も大学生も難しい時期での開催ゆえだろう。

Xでは「本気の対決が見たかった」「準備不足が残念」との声も上がり、スケジュール調整の難しさが浮き彫りに。また、実業団と学生の力の差が明確で、特にエース区間では学生が歯が立たない場面もあった。

それでも、この大会の可能性は大きい。実業団と大学生の対決はファンに新鮮な興奮を与え、中継の革新性や万博との結びつきは未来への一歩を感じさせた。課題を改善すれば、さらに魅力的なレースになるはずだ。

例えば、10月の駅伝、マラソンシーズン前開催なら、実業団も調整として参加しやすく、学生も駅伝前哨戦と位置付ければ出場しやすくなるかもしれない。個人的には出雲駅伝をEXPO駅伝にするのもありかと思う。何か。本気の対決を実現する工夫が欲しいが、今回の熱気と反省を活かし、来年以降も継続してほしいと切に思った。

太田選手の圧巻の走り、吉居選手の冷静な勝利、上原選手の安定感、朝川選手の成長――これらの瞬間が未来の駅伝文化を育む種となる。

エキスポ駅伝は、可能性を広げる場として、来年も次の一歩を踏み出してほしい。


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