8月は、細切れに強くなればいい。

じっと立っているだけでも、ジリジリと皮膚が焼けるような音が聞こえてきそうな、そんな夏です。

アスファルトからはゆらゆらと陽炎が立ちのぼっていて、夕方になっても風があんまり冷たくならない。

こんな季節に「走る」なんて、ちょっとどうかしているんじゃないか。そう思われても仕方がないくらい、今の日本の夏はタフですよね。

でもね、走ることをやめない人たちがいるんです。 息を弾ませて、胸の奥を熱くしながら、汗をボタボタと地面に落としている。その姿を見るたびに、なんだか無性に愛おしくなるんです。身体って、ほんとうによくできているなぁって。

夏に強くなるっていうのは、決して「根性で耐え抜く」ということじゃないと思うんです。 若い頃はとにかく我慢して、途中で水を飲むことすら「甘え」みたいに言われた時代もありました。

けれど、何年も何万キロも自分の足で走ってきて、いろんな人の身体を見つめてきて、わかったことがあります。

「夏は、正面から戦わない季節なんだ」ということです。

無理に一直線に突き進むんじゃなくて、賢く、しなやかに、練習を「細切れ」にしてあげる。そうすると、身体はちゃんと応えてくれるんですよね。

たとえば、うちのクラブの「8月の練習メニュー」をちょっと覗いてみてください。

2026.8月 練習メニュー

8/4 (火) @18:20
500m × 8本 rp 〜 hs つなぎ300m

8/7 (金) @18:30
6000m (p) + 4000m (p) + 2000m (p) +1000m(rp)
 つなぎ給水2分

8/11 (祝火) @6:00
外周5周 + 5周 つなぎ給水

8/14 (金) @18:30
400m × 15本 ws

8/18 (火) @18:40
2400m × 1本 ラスト1000m 全力

8/21 (金)
月例記録会

8/25 (火) @18:20
800m × 6本 rp つなぎ200m

8/28 (金) @18:30
4000m (p) + 4000m (p) + 2000m (hp) つなぎ給水3分

どうでしょうか。

たとえば、8月7日6000m (p) + 4000m (p) + 2000m (p) +1000m(rp) つなぎ給水2分

これ、ぶっ続けで13000mを走ろうとすると、後半は暑さでフォームがバラバラになって、ただ「耐えるだけの時間」になりがちです。でも、細切れに「2分間の給水」を挟む。たったそれだけで、後半もしっかりとした質の高い走りができるんです。

8月11日の祝日は、思い切って朝の6時スタートにしています。太陽が本気を出してしまう前に、涼しい空気のなかでサクッと走ってしまう。環境を味方につけるのも、走る人間の大切な知恵なんですよね。

8月14日の「400m × 15本」や、8月28日の最後のギアチェンジ(2000mハイペース)も同じです。暑さで動きが重くなりやすい時期だからこそ、距離を細かく刻んだり、短い距離でスピードのキレを確認したりする。

途中で止まること。 水分やミネラルをしっかり補給すること。 朝早く起きて走ること。

それらは全部、「逃げ」なんかじゃなくて、「自分を大切にしながら強くなるための戦略」なんだと思います。

長年、いろんな人の人生や、走り去っていく背中を見てきましたけれど、一番遠くまで行ける人は、いつだって自分の身体の声を聞くのが上手な人でした。

汗をいっぱいかいたあと、首すじを通り抜ける夜風って、なんであんなに気持ちがいいんでしょうね。

冷たい水が、のどを通って胃に落ちていくときのあの感覚。それだけでも、夏に走る価値はあるのかもしれないなぁ、なんて思ったりします。

あせらず、無理せず。

でも、ほんのちょっとだけ自分に期待しながら。 この夏も、一歩ずつ進んでいきましょうか。


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